会員 随想

見上げればそこに月ありて(㈱岩測設計 大野久子)

株式会社岩測設計
大野久子

  ただただボーと月を眺めるのが好きで、よく夜空を見上げています。
毎日少しづつ変化しそれぞれの形の月がありますが、やはりぽっかりと浮かんだ満月が一番美しいと思います。ある時、月暦という物を知り、またそこに月をこよなく愛する方々という言葉に惹かれて購入し、今夜の月はどうかななどと思い巡らせ楽しんでおります。
 現在一般的に使われている暦は太陽の運行に基づいた太陽暦ですが、月暦はいわゆる旧暦(太陰暦)で立春に一番近い新月から始まるものです。ひと月というのは月が生まれてなくなるまでの、サイクルの月のリズムのことで、一日は太陽のリズム(地球の自転)ひと月は月、一年は月と太陽のリズム(月と地球の公転)を合わせて組み立ててきたのが古来からの人類の時のとらえ方だったそうです。月が新しく誕生し(これを朔という)満月(これを望という)を経て見えなくなる(これを晦日という)までの29日から30日で月暦は成り立っています。(他にも月の呼び方として、三日月、待宵月、十五夜、十六夜、立待月、二十三夜などいろいろあります。)
 満月や新月の時に赤ちゃんが誕生したりなど月は人の生涯にかかわる神秘的な力があるとも言われています。実際月の光に照らされ満月を見ていると吸い込まれる感じになったりするのも不思議な力を持つ月のせいかもしれません。
 月にまつわる伝統行事が各地で復活し、月のリズムで営む行事の楽しさや、月の恵みを改めて実感することができ、より月への関心が高まってきているようです。私が月に関する行事として思い出すのは、子供の頃はどの家でも仲秋の名月(十五夜)にススキを飾り、団子や季節の野菜、果物を供え月の出を待った事くらいですが、これは収種の喜びを感謝する意味があったのだと思われます。子供心には供えた物ばかり気になってた記憶だけのようです。
 毎年何かしら気にかけていたこの風習も、とうとう今年は月より団子の団子さえも飾ることなく過ぎてしまいました。時間に追われる日々で心にゅとりがなかったかなとか、自分白身にも言い訳をしてしまいました。
 社会現象として癒しという言葉をよく耳にします。「癒す」とは病気・苦しみ飢えなどをなおすとある辞書にありましたが、古代の人々が月と共に生活してきた自然の息吹を感じとれる身近な月をゆったりとした気分で見上げれば少しは癒されるのではないでしょうか。
 これからの季節、白い雪景色を照らす力もまたお勧めです。
どうぞ夜空を見上げて下さい。

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