会員 随想

随想((株)岩測設計 田中安博)

(株)岩測設計
田中安博

 私の趣味は葡萄とサクランボ作りです。特に葡萄は親から引き継いでいるので本格的に取り組んでいるところです。
とは言っても、やり始めてからまだ6年余り、勉強中で初心者の域です。
 葡萄は巨峰、藤みのり、紅伊豆、安芸クイーン、信濃スマイル、ロザリオビヤンコ、ロザリオロッソ、ダークリッチ、シャインマスカット、ハニービーナス、ゴルビー、ブラックビート等10種類以上栽培しています。面白いもので一品種ずつ育て方が違っていて巨峰は一般的な品種ですがこれが意外と大変。ちょっと手抜きすると病気になったり、粒が太らなかったり、出荷時に色が来なかったりと思考錯誤しているところです。シャインマスカットは近年人気の品種ですがわりと育てやすく肥料管理を良くし適期の処理を間違えなければ順調に育ってくれるようです。
 そうそう一番の厄介者がいました、藤みのり君です。手塩にかけて摘粒、摘防房を施し、やっと大きな玉の房が出来て、今年こそはと思った矢先に葡萄の玉が割れ始めます。ほんの少し水分を吸収してしまうとそうなってしまうようです。幻の葡萄といわれる由縁がわかります。
 ぶどう園は8月末~10月初旬までの開園になりますが、さまざまなお客様が来園します。親の代から何十年もひいきの人達、新たに私の時からの人達、家族連れ、夫婦、恋人同士、お一人様、老若男女。私は土日、祝日の接客で限られますが、お会いできる喜びがあります。一年振りの安否確認、情報交換、冗談等、つかの間の時が過ぎてゆきます。
 有難いことで今年も全て完売いたしました。多くのお客様のお陰です。感謝の限りです。
 葡萄の販売は約1か月、あっという間に終わってしまいますが1年を通して手をかけ育て上げた成果がやっと見るときでもあります。
 葡萄を食べてくれた人達が「美味しいですね」と言って下さった時が一番のやりがいを感じます。
 農業は本当に地道な作業ばかり、天候に左右されたり、災害が有ったりと一筋縄では行きません。それでも農家の人は良いものを作ろうと努力しています。一昨年最盛期の頃、台風21号で、葡萄の房が落とされ棚や施設が壊れ、かなりの被害が有りました。それにも関わらず、すぐに再開する農家魂には感服します。
 農業をするようになってからお客様だけではなく農業に携わる多くの人と交流を持てる様になりました。栽培について教えてもらったり、作業を手伝ってもらったりと色々と協力してもらっています。最近は農業関係の団体にも参加し少しでも恩返ししなければと思っています。
 同じように私たちの業界も人との繋がり、会社との繋がりが大事です。
 これからもう少し農業を趣味としてみます。

【ぶどう園の巨峰】
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