会員 随想

随想((株)オリス ト部泰)

株式会社オリス
ト部泰

 現在「私」は62歳45日(10月15日現在)です。先日同級会があり20数名集まりましたが、見た目には同級生よりも若くは見えます。とは言っても62歳45日です。ただ体力にはまだ自信がありますが、これは趣味の一つであるスキューバー・ダイビングを20数年続けて来た賜物かなと思っています。
 始めた動機は多少不純ではありますが、体力が無いと続けることは非常に難しいと思います。ライセンスを取得して6ヵ月後、初めて海外にダイビング旅行に行った先がパラオ共和国でした。佐渡を出発して、新潟・東京・成田と船・夜行バス・電車を乗り継ぎ、グアム経由で約二十四時間かけパラオ共和国に到沿しました。パラオは日本のほぼ真南に位置し、戦前日本が統治していた事もあり、日本人の開拓者も結構入植していて、現在も日本性の名前の方が残っています(当時大統領の名前がナカムラでした)。第二次世界大戦では連合艦隊の基地が置かれていたせいか、かなりの激戦地であり、陸上には砲台、桟橋、戦車などの残骸がまだ残っていましたし、地名の中にはブラッドビーチの名前が付くほどの場所もありました。ここでは薬きょうが当時のままに浜辺に転がっていましたし、海の中にはゼロ戦やコルベットなども見ることができました。特にゼロ戦は開戦初期のものかどうかは分かりませんが、ジュラルミンで出来ていたせいなのか、翼以外はほぼ完全な状態で残っていました。中に座ってみましたが、人一人がやっと座れる位の大きさでした。この狭い操縦席に座り、家族のため国のために日夜戦っていたパイロットがどうなったのかは分かりませんが、この場に来て改めて今平和な世の中にいるありがたさを感じました。
 さて、海の中ですが、このパラオ共和国は世界でも屈指のダイビングポイントであり、世界中からダイバーが集まってきます。華やかさを俗世間的に表現すれば、東京銀座と新潟古町くらいの違いがあります。魚や珊瑚の種類、数が桁違いに多く、普段ホームベースとしている佐渡の海から見れば、多国籍国家に迷い込んだのではないかと思う位、まったく見たことも無い種類や圧倒的な魚の群れ群れ群れの世界でした。魚の数や種類が多いと言うことは、それだけプランクトンも多く、潮の流れもあり、時には激流になることもありますし、アップカレントやダウンカレントも発生します。私が行った時もペエリリュウ島の沖合いでこのカレントに遭遇し、危うい目に遭いました。このポイントは本来初心者の私が行けるようなポイントで無かったのですが、ガイドさんが大物を見せたいために無理して連れて行ってくれた所でした。そして翌年このポイントで日本人グループ8人が流されて亡くなりました。
 自然は何が起きるか予測が付きませんが、しっかりとした計画と慌てない心の準備をして置くことが重要だとつくづく思い知らされました。この最初の海外ダイビングから20数年間ダイビングを続けてきて、見たことも無い、いろいろな珍種(変身するタコ等)・大物(ジンベイサメ等)に遇うことが出来ました。後数年で私の体力も限界に来るかと思いますが、それまでは挑戦し続けたいと思います。その後はその記録を整理して若き日の思い出をたどりたいと思っています。現在「私」は62歳45日(10月15日現在)です。
 趣味の一つを紹介しました。

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