山歩きの楽しさ((株)アルゴス 古川征夫)
株式会社アルゴス
古川征夫
私も65歳を過ぎて数年がたち立派な中高年世代である、近年山歩きで中高年の遭難がマスコミで多く目にする様になった。それもその筈無雪期の山歩きは中高年が多く、また女性が多い、最近のアウトドア用品は中高年に的を絞って居る為か服装やリックサック、登山靴等装備は良い品物を身につけて、実に元気である。
私は20~30歳代のころは単独行が多かった。単独行は自分のペースで気ままに歩く事が出来、最近2日間で歩くコースなら、30歳の頃は1日で歩いていました。今は山並や草花を眺め仲間と会話を楽しみながらの、山歩きを楽しんで居ります。これも中高年の体力の成せる事と、歯がゆさを感じる事も多く在ります。
私の参加している山の会は「冨久住山歩きの会」と称し、割烹の女将が事務局を務めて居ります。この女将は独身時代には青海の明星山や谷川岳でロッククライミングをやり、冬の富士山では青氷の斜面で、滑落訓練を受けたと言う頼もしい女将で有ります。会員は自然と山好きの常連客やその奥さん方で有り、凄いのは自衛官で元レンジャーの教官や、元バイアスロンの選手など強力な会員もおります。
月1回例会を行って居りますが、実施した山歩きの状況報告や、今後の山行計画の発表など情報交換を行い、終了後は酒宴と成り、山の話で盛り上がり賑やかな例会で有ります。山と酒はとても相性が良いものですね。
重いリックサックを担ぎ、何でこんな苦労をして急坂を登るのかと、自分を責める事もよく有りますが、汗を拭いながら辿り着いた山小屋には、美味しい生ビールが待って居り、喉を潤す生ビールの美味しいこと、このビールで今までの苦労も何所やら楽しみの一時です。その後も山小屋では酒盛りが始まります。リュックの中には重くてもビールや酒は欠かせません。
私共の山歩きの会は、残雪をポリ袋で山頂に担ぎ上げワインや、ビールを冷して乾杯する等、傍の登山者は怪訝に思われる様な事もやる楽しい会です。また、以前は奥大日岳にて単独行者の200m程の滑落事故に遭遇し、一命を救助するという人命救助も行なった事が有ります。
山は春夏秋冬、春に残雪と芽吹きの中を、夏は天候が安定し昼の時間が長くきついルートも登れる、秋は紅葉の彩りが素晴らしい、冬は寒気が厳しいが汚れの無い純白が好きです。その中でも4~6月の残雪期が1番楽しみな季節です。この季節の山は厳冬期に比べ天候が安定している時期で有り、厳冬期には雪崩が怖くて入れない沢登りが出来る時期でも有ります。また無雪期には藪が深く、普段は立ち入れない斜面や稜線にも楽に登る事が出来る1年で1番好きな山歩きの季節です。
そんな残雪期の山歩きに、2年前の6月5日雨飾山南尾根を登りました。雨飾山は深田久弥の百名山であり、無雪期には多くの登山者で賑わって居りますが、この尾根は積雪期のみ登頂可能なルートで有ります。藪こぎも一部在りましたが熊の大きな足跡があったり、尾根筋には白根葵の群落が咲き乱れる等、以前から念願の南尾根を踏破する事が出来て、残雪期登山の良き思い出です。
今年で9周年を迎えますが、私共山歩きの会のモットーは「安心、安全で楽しい山歩き」を実践する同好会を念頭に活動をしています。