会員 随想

私(アスカ測量(株) 佐藤一秋)

アスカ測量株式会社
佐藤一秋

 昨年は3.11東日本大震災が発生し、その後各地で水害などが相次ぎ、大災害に見舞われた年になりました。日本国中から多くの若者が集まり、援助の手を差し伸べている姿を見ていると被災地は必ず復興してくれるものと希望を感じます。そして多くの日本人が家族や友人の絆を確かめ合ったのではないでしょうか。被災地の皆さんにはあきらめずに頑張ってほしいと祈らずにはいられません。
 私は平成3年にアスカ測量に入社して早いもので20年がたちました。平成10年には当時の大滝社長が退職した為、私が二代目の社長を引き継ぐことになりました。40歳の自分にとって大変な重責を背負うことになり、身も心も引き締まる思いでした。社員と共に歩む道のりはけっして平坦とは言えませんでしたが幾多の困難を乗り越えながら現在に至っております。
 私が測量の道に入るきっかけを作ってくれたのが今は亡き父でした。父は若い頃土木の仕事に携わっていました。しかし資格のない父に出来る仕事は限られており、さまざまな苦労を経験したようです。そんな自分の経験から資格を持つことの重要さを肌で感じ、けっして裕福な家庭ではありませんでしたが測量の専門学校へ進学させてくれました。二年間東京の専門学校で学び、無事測量士の資格を取得することができました。武蔵野の面影の残る小平での学生生活は厳しくもあり、楽しくもあり、また人間関係を形成する上でも貴重な体験となりました。
 尊敬する父は平成20年に肺がんで他界し、その翌年には最愛の母が急逝するという私の人生の中で一番悲しく辛い年が続きました。両親の亡き後は田んぼや山林の管理、さらに親戚のつきあい等々今まで親に任せきりだった事がすべて自分にふりかかってきました。あらためて自分たち家族を支えてきてくれた両親の偉大さに気付かされました。
 現在は妻と二人だけの生活になりましたが、四年前に上の娘がペットショップで見つけたミニチュアダックスの「マロン」と下の娘が友達から譲り受けた同じ種類の「モコ」、さらに会社の車庫で震えていた野良猫「アール」も加わり、家を離れた子供たちに代わって話し相手になってくれています。犬たちは妻よりも私になつき、私が帰宅すると足にまとわりついて離れません。散歩は多忙な生活のため日曜にしかできませんが、彼らはそんな生活が当たり前のように思っているようです。猫は自由奔放、わが道を行く毎日です。この子たちは本当に可愛く、疲れた心身を癒してくれる最高の友です。
 これから先どんな時代が待ち受けているのでしょうか。松下幸之助の「不景気またよし」という言葉があります。不景気の時は苦しく困難であるが、不景気であるがゆえにはじめて得られるものがある。不景気になった為に知らなかったことを知った。それによって次の手が打てる。そういう見方をするならば不景気もまた結構という考え方です。困難を乗り越えた人間は多分自然と知ることかもしれませんが、力づけられる一言です。また、過去の考え方やこれまでのやり方にとらわれることなく日に日に新たな観点に立ってものを考え、ことを成すことも経営者にとって必要なことだと思います。
 私はこれからも一日一日を精一杯生き、社員や家族との絆を大切にしながら歩み続けて行きたいと思います。

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