会員 随想

測量作業の危険予知活動(保坂測量㈱ 関口孝人)

保坂測量株式会社
関口孝人

 「現場での作業の中には、多くの危険が潜んでいる。それらの危険が不安全行動や不安全設備により労働災害となるわけである。したがって事故、災害を防止するには、潜んでいる危険を予知し、それらに対する適切な措置をとる必要がある。また、建設業における労働災害の90%までが、不注意や、不安全行動によるものであるといわれている。この不注意や不安全行動による災害を防ぐ決め手の一つが危険予知活動といわれている。」
 以上が土木・建築工事の現場で測量作業するときによく耳にすることばである。工事測量を行う現場へ行くとまず準備体操からはじまり、朝礼・作業前打合せ、そして危険予知ミーティングと続き、危険予知活動表を提出してから作業開始となる。特に最近では、どの現場でもヘルメットや保護具の着用が義務づけられ、喫煙は制限される。
 それを毎日くり返していると、その習慣が身に付き、工事測量以外の現場でも危険予知活動を実施し、作業班全員で作業前点検やミーティングを行うようになる。そして現場へ向う車の中でも作業中の安全確認や注意事項などを話すようになり、そこから連帯感が生まれ、チームワークもよくなり仕事もスムースに進行できると思うのだが、現実は危険予知活動表を書くことだけで精一杯である。
 そこで、いつも真剣に考える「測量作業にはどんな危険が潜んでいるか」という項目を活動表の中からここにあげてみることにする。
 まずはじめに注意する点は、「急斜面での滑落転倒」であり、スキー場や地すべり災害の現場では特に注意する必要がある。次に、道路では「交通事故」に注意し、天候によっては、「落雷」や「大雨による土砂災害」・「河川増水時の水際での転倒」なども注意しなければならない。
 ここにあげた例は毎日のように活動表の中に書いて作業班全員に見てもらうのだが、ほとんどの人は実際に現場へ行くと忘れてしまうようで不安全な行動をとることがある。特に、作業終了時近くになると目立つようになる。そして、成果提出の納期がせまってきたり、1日の作業が工程表通りに進行しなかったときなどは、作業班長自らが作業員に対して急がせたりするので不安全な行動をとるようになってしまう。人問の注意力には限界があり、本人は注意していたつもりでも無意識のうちに事故や災害を起こすことがある。このように普通に作業していても事故は起きるのだから、急がせたりすると作業員は安全な通路を使わず、近道行動を選ぶようになり、それが事故につながるときもあるので作業班長自らが不安全行動の手本にならないように注意すべきである。
 危険予知活動表の「測量作業にはどんな危険が潜んでいるか」という項目の次に、「私達はこうする」という対策を記入する項目がある。土木・建築工場の現場でよく見かける「指差称呼」は、安全対策の意識を高める一つの方法であると思う。
 「指差称呼」とは、作業を誤りなく進めていくために、作業の要所要所で自分のなすべき行動を「手元・足元確認ヨシ」と対象をしっかり指差し、大きな声を出して確認することである。
 その必要性は、注意していたつもりでもどこかボンヤリしている瞬間や、錯覚などを起こしそうになるときなどに意識のレベルを引上げて確認することで有効となる。
 他に、「指差唱和」というものがあり、これは危険予知活動の中で、グループ全員で行動目標を指差して、大きな声で「今日も○○で行こうヨシ」というように、唱和することである。これも、安全対策の意識を高めることに有効であると思う。
 私の班で行っている安全対策は、「ヘルメット安全チョッキの着用」、必要に応じて、「安全帯やロープの用意」などである。それと、「気象情報の把握」や「作業員の健康状態を確認する」ことなどは毎日行っている。これからも、現場での安全管理及び注意事項を守り、事故や災害を起こさない現場を作るため具体的でわかりやすい目標を定め実行していくつもりである。

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