忘れ難い体験(㈱大成測量設計事務所 南間春実)
株式会社大成測量設計事務所
南問春実
新緑の4月に放送されたNHKの人気番組プロジェクトX(ギニアの国土基本図を作成)を観ながら、私も二十年程前に、JAICで行った、インドネシアとホンジュラスでの測量を思、い出し、自分が当時体験した事が脳裏に浮んで来る。
私自身、海外へなど旅行ですら、それまで行った事など無く、まして英語など中学生並かそれ以下である、しかも着いた先の言葉はインドネシア語(ホンジュラスはスペイン語)という、それまで聞いた事も無い言葉である。通訳など居なく、現地の作業員を使っての業務である。
インドネシアでの業務の内容は、首都ジャカルタ郊外に建設中の新国際空港から市内のコク駅間に、新たに鉄道を建設する事業で延長約25㎞、その区間の基準点測量と路線測量でした。
現地の作業員を使っての作業、まずは言葉を何んとか少しでも理解しなくてはと思い、現地の日本人会の事務所に行き、日常会話の小冊子を求め作業員相手に測量の合問に会話のレッスンです。慣れて来ると街での食事や買物で覚えたばかりの言葉で身振手振を交え奮闘するが、相手にどの程度伝わっているのか、はなはだ疑問である。
ジャカルタは水の事情が極めて悪く、現地の人でさえ一度沸騰させて飲む、測量中に喉が渇き近くの屋台でコーラ等を飲もうとするが冷えた物など無い、氷を入れて飲むとその氷が解けコップの底に泥が留まるといった具合である、その様な事情で隊員も下痢で一人また一人と寝込が、一日か二日で快復しそれ以後は下痢もしなくなる。人間の順応性に驚くばかりです。
この様な体験をしながら、作業も進んでは行くが、何せ25㎞も有る。横断の数も膨大だ、隊員8名で期間も3ヶ月弱である。毎日朝8時から夕方4時まで現場で作業をし夕食後に内業するという毎日です。当時パソコンなど現地には無く、全て電卓一つで計算です。何んとか期問内に作業を終らせ無事帰国しました。
帰国して4ヶ月後にホンジュラス行きの話しを頂き、今度は中南米へと旅立つ事に成りました。
当時我々が測量したその場所が、今どの様に変貌しているのか、電車は走っているのか、一度行ってみたい。