会員 随想

随想((株)平成測量 鈴木元康)

株式会社平成測量
鈴木元康

 今から20年程前のことです。当時、私はスクーバダイビングに夢中でした。
 その5年ほど前の3月にグアムの南西(フィリピンの東)にあるパラオという南国の島国を訪れる機会があり、ロックアイランドでシューノーリングを楽しみました。海の中のブルーと珊瑚の美しさに目を見張りました。快晴のなかのあの時の感動はいまだに経験していません。
 帰国して直ぐに市内にあるダイビングショップに通い、4月から5月に能生弁天岩沖合で練習をしてCカード(ライセンス)を取得しました。バディ(相方)は家内です。家内はそれまでカナヅチでしたが、外洋でもなんとか100m泳げるようになりました。
 ダイビングの魅力は、なんと言っても海中を三次元で移動できることにつきます。空中を浮遊している感覚です。それまでの世界観、人生観が変わりました。
 仕事の都合上、夏期に長期の休暇は取れませんでしたので毎年1月、2月、3月の冬期に成田経由でグアム、パラオ、インドネシア(バリ、プロウスリブ)、タイ(プーケット)に通いました。
 ブルーホール(グアム)、グロット(サイパン)、ブルーコーナー・ジャーマンチャネル・ブルーホール・ビッグドロップオフ(パラオ)、ムンジャンガン島(バリ)等の有名なポイントはほぼ全て潜りました。一番印象的なのは、ムンジャンガン島沖でまるで「渦潮」みたいな潮を流れの中に身を投じた時のことです。ドリフトダイブ(舟をアンカリングしない)で深さは15m程ですが潮の流れが速すぎて私だけがはぐれてしまいました。海中には、サメ、バラクーダ等がウジャウジャいて潮の流れに頭を向けています。ゴーという潮の流れる音が聞こえます。エアーを8割程消費したので浮上してフロート(海面から2m程出る目印)を立てましたが、ガイド、家内とエキジットボートが見当たりません。それから30分は不安で一杯でした。このまま、漂流かと思ったその時にガイドのフロートが見え、その後からボートが近づいてきました。「九死に一生を得る」心境でした。家内にはまだこの時の事を言われます。
 さて、本題ですが2度目のパラオの時、宿泊先のホテルの朝食時に当時活躍されていた「和田勉(演出家・タレント)」似の方を何回もお見受けしました。ご夫妻でしたが話す機会はありませんでした。大きな声と個性的な風貌で忘れません!
 そして翌年の3月、私たちはグアム・サイパンの中間にあるロタ島に出かけました。その日は風が強くダイビングはキャンセルです。昼食をホテルで摂り、売店でウロウロしている時に「熱い視線」を感じました。そして振り向くとそこにはなんと「和田勉」似の方が立っていました。声をかけて「昨年パラオでお見受けしています。」と言ったら「和田勉」似の方も「そうですよね!どこかでお会いした方だとは思っていたのですがパラオでしたか!こんなこともあるんですね!」と大きな声で言われました。まさに奇跡の時でした!
 それから20年以上経ちますがこんな奇跡は起こっていません。・・・・・・和田勉さんは、2011年に亡くなられました。(合掌)

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